いちてるの学舎

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IITH学生のコンジ君と話したインドが豊かになる方法

IITH学生のコンジ君と話したインドが豊かになる方法

1つの州に1つという原則で設立されている、インド工科大学をビジネスの主戦場におく事業部MGの僕は出店展開をするべく、グワハティ、チェンナイ、コルカタ、ルールキー、バンガロールと直近3-4カ月はぐるぐる飛び回っていたのです。
その際、ハイデラバード校のコンピューターサイエンスの博士課程の学生コンジをお供に、学長や学校関係者との交渉に臨んでいました。

コンジくんと車や電車の中でたくさんのことを話したのですが、急成長が見込まれるインドの人々や生活の発展についての展望を聞く機会があったので、簡単な備忘録として少し記しておきます。

インドが2050年にGDPが世界第二位に!

IT大国インドですが、30年後には世界経済の中心に位置しているだろうと予測されています。
GDPでみると、沈みゆく国日本も抜かれ、2050年には世界第二位となるそうです。
25歳以下の人の割合が50%を超えて、日本と異なり、まさに綺麗なピラミッド型と人口構造と言えます。
いかにも貧しそうな人も携帯電話やスマートフォンを手にしている光景は異様ですが、人々の明るさ、勢いは国が上向きであることを肌で感じ取ることが出来ます。(単純に国民性かもしれません)

でも本当に田舎やスラムも豊かになるの?

中国や日本など高度経済成長を遂げた国の生活の在り方を勉強する必要もありそうですが、インドの人々が豊かになっていくイメージができるようでできないような、インドという国だからこそ進んでいく格差みたいなのが想像できます。
例えば、車窓から垣間見える街々、人々を見ると経済成長の裏というか、闇の部分も感じ取ることができます。
大戦が終わり早70年を超えても、おそらく戦前と同水準の暮らしをしていることを感じ、古びれた暗い印象を与える無機質な建物がインドは発展している国だとういうことを忘れさせます。
僕はコンジ君に問を投げかけてみました。「本当に田舎やスラムも豊かになると思う?」

なるほど、教育か。

彼は、「今のままだとうまくはいかないと思う」と答えました。
なぜそう思うの?と問いかけると、その答えは、「なぜ先の70年が発展してこなかったか」という問いと深く関わるものでした。

何かの記事で、インドやトルコが太古から力を持っていたにも関わらず他国より劣位になってしまったのは、怠惰な国民性に起因しているという趣旨の考察を見たことがあり、僕はそれも一因だと思っていましたが、コンジ君の仮説の方がすごく説得力のあるものでした。

『インドでは、「適切な教育」がなされてこず、しかも都市部に集中し、田舎は完全に見捨てられてていた。』

僕は国の発展のプロセスを上手く言葉にはできませんが、なるほど教育がなければ順当な発展はできないだろうとはわかります。
8年間の初等教育があるにも関わらず、インドで読み書きが充分にできる人はおよそ50%しかいません。又、恵まれた教育環境にあるIITの学生ですら、日本人やグローバル基準からすると、行儀やマナーという面では「?」がつくときもあります。
交通一つとってもなんでもありです。車線ハミダシ逆走万歳。
つまりカオスな状態なのです。秩序という言葉がどうも似合わない。高いビルが立ち並び、ITが発展しているイメージは陽の部分が見えているだけ。「多くの人々に対する教育レべルが低いため。それは算数とかだけでなく、人としてどうあるべきかとか、コミュニティとして生きていく力を教えないとインドは発展しないんだよ」とコンジ君はおもむろに語ってくれました。

インドのこれから

前述したように世界第二位のスマートフォン市場と言われるくらい、人々はスマホを手にしています。教育分野をデジタルで進めていくことをインド政府は取り組んでいくそうです。

ふと、インドで暮らしているときに考えることがありました。僕はこの国の人に何を与えているのだろうなと。
今回の件で感じたことは、多くのインドの子供たちに教育を施すことに僕らは直接貢献できないが、普段関わっているこの国のリーダーとなるインド工科大学の学生に、選択肢を拡げる機会提供をすること、また深いところでの日本文化の理解を通して、時間はかかるけど、後々インドを豊かにすることに繋がるのではないかなって。道筋/希望が少し見えてきて素直に嬉しかったです。